「少額訴訟制度」④
これまで簡単で、費用も安く、早く解決することができる
少額訴訟について、メリットを中心に説明してきましたが、
今回は少額訴訟には不向きなケースを紹介します。
① 相手方が少額訴訟を希望しない場合
少額訴訟は1日で審理を終え、その日の内に判決が下されるた
め、証拠・証人等は1日で扱える内容に限られています。即時
に取調べができない証拠がある場合などは、被告により訴訟
を通常の手続に移行することができます。
手続き選択の自由は当事者双方に認められています。また、
裁判所による通常訴訟へ移行させる決定がなされることもあ
ります。
② 問題が複雑な場合
少額訴訟は原則として1回で審理を終了するため、事実関係が
複雑で調べるべき証拠や証人が多い場合には向きません。
事件が複雑になった場合は、入念な証拠調べや書面の準備
が必要になり、弁護士に依頼した方が適切な紛争の解決が期
待できます。
また、複雑な事件の場合は、相手方や裁判所が通常訴訟へ
移行させる可能性が高いです。
③ 利用回数の制限を超えている場合
少額訴訟は同じ簡易裁判所において、年10回までに限られて
います。
これは、金融業者などの乱用を防ぐためにこの制限がありま
す。
少額訴訟を起こす際に裁判所に利用回数を届け出なければな
りません。届出がない場合には、裁判所により通常手続に移
行され、また、利用回数に関して虚偽の届出をした場合は、
10万円以下の過料に処されます。
④ 被告の所在が分からない場合
相手方の所在が分からない場合は少額訴訟を提起することが
できません。
1回の期日で裁判が終了する少額訴訟では、相手側の訴訟上の
手続保証がなされなければならないからです。
被告に対して最初にすべき口頭弁論期日の呼び出しができない
時は裁判所により通常訴訟へ移行されます。相手方の所在が不
]明な場合でも、通常訴訟においては、公示送達という方法に
より訴訟を提起することが可能です。
《参考文献》「日本一わかりやすい弁護士いらずの少額訴訟」
桝井信吾 明日香出版社
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